「オールシングス・マスト・パス/ジョージ・ハリソン」 70年  評価4


 ジョージのソロ3作目だが、前2作はインストゥルメンタルだったので、実質的にはソロデビュー作と考えられている。本作は元々レコード3枚組として発売され、3枚目は親交の深かったミュージシャン達とのセッションを収めたもので、ミュージシャンではない私にとっては特に聞く価値はないもので、本作の評価は3枚目をのぞいたものとして書いている。

 ジョージの曲はビートルズ後期からビートルズ作品として取り上げられてきたのだが、ビートルズ解散後、ジョン、ポール、ジョージそれぞれの初めてのソロアルバムとして最も成功し、質の高かったのがこの作品であることは疑うべくもないだろう。ビートルズ時代の最後はジョンとポールに匹敵するほどのメロディーメーカーとなっていたジョージだが、この作品では2枚組分18曲全てクオリティが高く、けちのつけ様のないトータル性も持っている。

 ただ、それでも評価が上がらないのは、ボーカルが地味だからだ。ジョージのボーカルは決して上手いとは言えず、曲に同化するといえば良い言い方だが、全般を通しては起伏がないという印象も与えるのは事実。

 単曲としては「マイ・スウィート・ロード」はその歌詞とともに歴史に残る名曲であり、「ホワット・イズ・ラヴ」も陽気な名曲で、多くのミュージシャンに取り上げられている。